うちにはドアが無かった。
正確に言うと、リビングに面する室内ドアが一切無かった。
そういうデザインの家では決してない。極限まで解放されたリビングは、冬にいっさいの暖房効果を発揮せず住人の寒さ耐性を強化する働きがあったという。
ドアがない家 ~ ノーデザイナーズマンション
というのも、昨年新築マンションを購入したときにリビングのドアが気に食わず、というか全面的に内装が気に食わなかったため、ほぼフルカスタムで床・浴室・洗面室・その他もろもろこちらのオーダー通りに仕様を変えてもらったのだが、室内ドアだけは要求を受けれてもらえず。
結果、「マンションが建ってから自分でつけるから何も付けない」との結論になり、デザイナーズマンションよろしく解放感に溢れるリビングが出来上がったのです。
ようやくドアが付いたのでその一部始終をご紹介
引っ越しから約半年、足りないピースは妄想で補っていたわけですが、ようやくバーチャルドアがリアルへと変貌。
その取り付け工事の過程には普段お目にかかれない新鮮さがふんだんに詰まっており、なかなか楽しかったのでここに記す。
まずはマーキング
最初はドアの枠を取り付けていくわけですが、取り付け場所の位置決めの段階から人類の英知が詰め込まれたメカが登場。
ドアを付ける場所はこちら。自分でもどこにつけるの?って思うくらい威風堂々とした壁。
画像の中に赤いラインが入っているのがおわかりだろうか。
赤いラインは、この宇宙船のようなメカから発射されているのですが、こちらは墨出し器と呼ばれる水平・垂直をレーザーでマークしてくれる機械。今や、時代はレーザーなんですよ。定規とかは使わないわけです。すげー!
勢い余って天井すらも薙ぎ払う脅威のレーザー照射。
活路を切り開く
光マーキングで位置決めしたら、下準備に入ります。具体的には、ドア枠を取り付ける場所の巾木(壁の下部を保護するためのサムシング)が邪魔なので伐採していきます。
この作業は職人さんの技術力だけが物を言う。AI時代になっても生き残っていくスキル。ノミとトンカチで懇々とコンコン。
綺麗に道が切り開かれました。
枠の取り付け
巾木を取ったら、次に枠をはめ込んでいきます。結果ファーストで画像を載せますと・・
どーん!
枠さえあれば、冬もつらくはないわ。暖かく生きていける東京砂漠。
実は、巾木を伐採してから枠のはめ込みまでにかなりの時間を要しているのですが、どんな作業プロセスを踏んでいるかと言うと・・
写真を撮り忘れ細かい説明が面倒なのでさらっと説明すると、
事前採寸し工場にてある程度の大きさで作ったものを、当日に現場で微調整し枠を組み立て、それをスッポリはめ込む!!
はめ込んだらネジで固定していきます。壁に固定された枠は、ここからさらに手を加えています。
まずは戸当たりの装着。ドアが逆方向に開かないようにするためのものですね。
戸当たりは接着剤で付けるので、しっかり接着するまで養生テープ的なやつで固定です。縛り付けたまま3日間くらい放置プレイし、次はいよいよドアの取り付けです。
ドアの取り付け
ここからドアの取り付け作業に突入!!
あらかじめ取り付けられたドアの枠を見ると、くぼみがあるんですよ。これがドアの生命線。
生命線たるくぼみは、なんとヒンジがピッタリ入るサイズになっていた(当たり前
ヒンジ部分を枠にハメたらネジで固定。固定無くして成功なし。
なお、ドアのレバーハンドルは現地で後付けなんですよ。そして、このハンドルと木のコントラストがディ・モールト良い。ブラックチェリーと南部鉄の競演。木のぬくもりと鉄の重厚感のコラボレーション。
ハンドルを取り付けたら、ハンドルの位置に合わせて、ドア枠にラッチ受け(※)を取り付けていきます。
※ ラッチとは、ドアのハンドルを上下させると出たり引っ込んだりするアレ。ラッチ受けとは、それを受けるやつね。
枠に定規のようなものを取り付け、ラッチ受けを付ける場所を職人さんの手作業で加工していきます。
機械でぐりぐり穴をあけてから、ノミとトンカチで攻めるスタイル。
ここまで来たらほぼ完成ですが、ちょっと長くなってきたので続きは別の記事で。
今回はここでおしまい。